法テラスに対する弁護士の本音は??

法テラス

質問:法テラスを利用して弁護士に離婚事件を依頼したいです。でもインターネットで検索すると法テラスの評価がよくありません。法テラスを利用することについて弁護士はどう思うのでしょうか、弁護士の本音が知りたいです!

法テラスに対する弁護士の本音

法テラスに対する弁護士の本音ですか…それはパンドラの箱を開けるような質問ですね(笑)あたしもTwitterをやる前まではあまり気にしたことはありませんでした。しかしTwitterを始めてみて法テラスに対する弁護士ツイッタラー(Twitterをする人のこと)の深い怨嗟の声を聞いて明瞭に理解しました。法テラスは弁護士に憎まれていると言っても過言ではない、と。

では法テラスのなにが弁護士に嫌われている?

一つにはやはり法テラスの決める事件単価が低すぎることにあります。これは以前の記事でも触れました(関連記事「法テラスの弁護士は最悪なのか?」)。

法テラスが事件の弁護士費用を格安で設定しており(従来の弁護士費用との差額が国によって補填されるわけではありません!)採算割れの危険をもたらしているのです。

弁護士に支払われる報酬が低額であること、これは刑事事件でも顕著です。被疑者国選段階では接見回数に応じて費用が加算算定されるシステム(但し一定回数を超えると減価して加算される謎システムでして、これも弁護士の気持ちを逆なでします。)で、被告人国選となって最後の判決まで弁護人として活動をしても、その報酬は合計20万円前後というところでしょうか。これが私選弁護人であれば幅はありますが大体60万円以上というところでしょうから、やはり相当低額に抑えられています。

離婚事件でも弁護士費用は相当価格は低く抑えられていますね。離婚調停(単体)の場合ですと実費込みで10万円~14万円程度です。通常の弁護士費用ですと着手金で30万円程度でしょうか。やはり弁護士に支払われる着手金は法テラスを利用すると半分程度だと思います。しかも離婚調停事件って事案によってはとても長引いたり、感情的な対立になったり、財産分与で細かくもめることもあったりで大変だったりもするのです。しかも長くなるから触れませんが、事件終了した後の報酬も相場と比べてとても安いのです。

さらにもう一つには、法テラスの手続きのために提出を求められる資料が多くとてもめんどくさいということです。法テラスの審査申し込みにあたって、たとえば住民票(マイナンバー省略のもの、それ以外は省略のないもの)、課税証明書、源泉徴収票、それ以外にも弁護士側で作成する事件調書などなど。事件が終わっても報告書が求められます。あ”-めんどくさい(笑)

以上から(といってもこれだけではなく弁護士側としては細かい不満が山ほどあります。)法テラスを利用することに弁護士側としては相当な抵抗感があるものと考えられます。ただ、誤解をしてほしくないのは、法テラス」という制度に対する不満であって、これを利用する依頼者に対しては「それはやむを得ないよね」と思っている弁護士は多いのではないかと思います。法テラスだからと言って手を抜いて仕事をしようなんて思っている弁護士はそうそういないのでは?と個人的にはそう思います。

他方で依頼者側のデメリットはどんなこと?

依頼者側のデメリットとしては、すぐに弁護士に依頼できないこと(弁護士と契約できないこと)ですね。法テラスには利用を申し込む必要(申し込みにあたっては、前述のとおり住民票やら源泉徴収票やらをもろもろ提出する必要があります)があり、審査があります。審査が出て法テラスを利用した契約をすることになるのですが、その審査に時間がかかることがあります。タイミングにもよりますが1か月くらいでしょうか。もちろん事情があれば審査を急いでもらうこともできますが、通常の契約の場合と異なって時間はかかりますね。

また弁護士が全員、法テラスと契約をしているわけではないため法テラスを利用して依頼できる弁護士が限られているということです。法テラスを利用するには、そもそもその依頼しようとする弁護士が法テラスと契約をしていることが前提になります。しかし、法テラス制度に反対している弁護士、法テラスを嫌っている弁護士、法テラスは必要ないと考えている弁護士もいますので、そのような弁護士に法テラスを使って依頼することはできないということです。これは法律事務所のHPを見たり、電話で問い合わせをしたりして確認することができるでしょう。

法テラスでは弁護士が選べない?という疑問について、これは関連記事「法テラスは役に立たない?その理由と対処法を解説します」に記載したので、お読みください。

法テラスの利用?いずれにせよ重要なのは弁護士選び!

以上を踏まえて考えますと、もちろん経済的事情によりますが、法テラスを利用するか否かはさておいて、やはり「弁護士選び」を重視された方がよいかと思います。そのうえで、法テラスを利用できるか否かを検討する、そういった流れが良いのではないかと思います。失敗すると弁護士に辞めてもらって次の弁護士を探すなんて大変なことになってしまいます(関連記事「法テラスで弁護士を変更したい、どうすればいい?」)。

もちろん経済的に苦しいから法テラスを利用せざるを得ないのだ!という場合においても、以上のような法テラスを取り巻く弁護士の事情というものを理解されたうえで、法テラスを利用できる弁護士を探されるのがよろしいかと思います。法テラスには幸い3回までの無料相談がありますから、少なくとも3名の弁護士に会って相談をすることができると思います。そこで吟味して、ご自身にあった弁護士を探されてみてください!

また、弁護士の選び方については、関連記事「良い弁護士の選び方?コツはだめな弁護士を避けること」に記載しました。ぜひご一読を!

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