質問：法テラスを利用して自己破産をお願いしたいです。生活保護受給なので、簡単に破産ができると聞きました。本当でしょうか？
ネットで検索をしますと法テラスを利用して債務整理（自己破産）をすすめるサイトが山ほど出てきます。これを読むと弁護士に依頼すればなんだか自己破産が簡単にできそうだな…と思う方も多いかもしれませんね。でもそうではないのです。下記ツイートのとおり、生活保護で法テラスを利用しても破産申し立てできなかった例もあります。まぁこれは特殊例なんですけどね。※なお事例については地名なども含めて事実を変えてあります。
最近は、特に生活保護を受給されている方だと、過去の借金を整理するように役所のケースワーカーさんから指導されたため、弁護士に依頼することになったという方が多いです。
上記ツイートも生活保護のケースワーカーさんから自己破産を勧められて、あたしの事務所で法テラスを利用して自己破産を申し立てをすることになった方のことです。
法テラスを利用すると生活保護受給中であれば法テラスが破産申し立ての費用を立て替えてくれるのみならず、その返済を猶予してくれます。そして事件終了後にも生活保護を受給しているのであればその返済は免除されます。法テラスで破産申し立て費用は（債権者が１０社までですと）約１５万５０００円です。この費用がかからないのですから、過去の借金がある生活保護受給者は、法テラスを利用して自己破産の申し立てを検討すべきでしょう。
その方は江戸川区から転居された方なんですが、借金の原因について聞き取りをしても「江戸川区は本当に怖いところだ…」と（笑）どうやら江戸川区で怖い知人にお金を借りたり、知人には名義貸しをしたりもしていたようなんですね。
とはいえ、こちらも破産申立て事件として責任をもって受任している以上は、破産に至った経緯など細かい事情の聴取も必要となりますのでどうにか話してくださいと説得をしていました。賃貸借契約書や過去２年分の通帳など自己破産に必要となる資料もそろえてほしいことをお伝えしていましたが、それもなかなかそろいません。
そして、ある日とうとう携帯電話で連絡が取れなくなってしまいました。郵便物も届きません。こうなってしまっては破産手続きは進められません。何があったかはあたしにはさっぱりわかりませんし、その方はケースワーカーさんにも無断で転居されてしまったようですから、生活保護も打ち切りになったようです。なお、生活保護が打ち切りになってしまうと法テラスの立替金の返済は免除されません。
まさか江戸川区のつながりで何かあったのか？？どうか無事でいらっしゃることを…とお祈りするとともに、法テラスには辞任の報告書（これもまためんどくさい…）を書いて、法テラスへ着手金の返還を行うこととなりました。なお途中で辞任することとなった場合は着手金の返還が求められます。これも法テラスの決定によりますが、進展度に応じてとはいえ相当額（たとえば結構事件に着手していたつもりなのに７０パーセント返還ということもあります。）を返還することになりますので、この点でも法テラスには不満が残ります。（関連記事「法テラスに対する弁護士の本音は？？」）
なお、この話には後日談がありまして、この方の親族の方から連絡がありました。詳しい事情はお話できませんがご無事でいらっしゃいました。現在は生活も安定しており、親族の援助で借金も整理されるようでした。ほっとしました…
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