シングルマザーで借金40万円で働けない、どうすればいい?(法テラスで破産と生活保護どちらが先?)

法テラス

質問:シングルマザーで、借金が40万円ほどあります。もう食費もなく所持金もわずかなんです。借金の整理をしたいんですが自己破産でしょうか?どうすればいいですか?※なお、本ブログの記載は複数事件の事実を基に変更を加えています。

借金の相談?でも、それよりもまず生活保護の申請です…

これもあたしが新人の頃の話なんですが、借金40万円をどうすればいいかという相談を受けたことがあります。下記のツイートの内容のように障害のあるお子さんを連れたシングルマザーの方でした。お子さんはまだ小さくて、とってもかわいらしいお子さんでした。

それで借金の相談を…と思って内容を聞き出していくうちに、最近夫が浮気をしたこと、夫に迫られて離婚してしまったこと、夫からは養育費が支払われず今は行方もよくわからないこと、お子さん面倒を見るために仕事ができないこと、預貯金もなくそして所持金が500円程度であることがわかりました。

このような大変な境遇であるにもかかわらず、外見は全く困った様子がなく、お子さんの相手をしながらニコニコと話をされています。聞き取りしていくうちに、あたしのほうがどんどん青ざめていきました…

借金の相談どころではありません。小さなお子さんを食べさせることが先決です。すぐに近くの役所で相談すること、もしスムースに生活保護を申請できないようであれば生活保護申請手続きに同行するからすぐに電話をくださいと伝えて、その足で近くの役所の生活保護課に向かってもらいました。役所の方も「こ…これは…!」と思ったのでしょう、判断が素早かったためすぐに生活保護を受給することができました。生活が安定したその後は法テラスを利用して、自己破産の申し立てをして、無事に破産することができました。

借金の相談でいらっしゃった方でも、これは生活保護受給が先だと判断することがあります。自己破産は借金をゼロにするための手続きにすぎません。マイナスの状況をゼロにするだけです。ゼロをプラスの状況(生活していくだけの収入を得られる状況)にすることはできないのです。当たり前のことなのですが、弁護士業を続けていくうちに、このことがわからない状況に置かれている方もいること、そしてそれが思いのほか多いことがわかりました。

生活保護の場合の破産手続きは法テラスを利用してください

このように無事に生活保護を受給できることになった場合は、法テラスを利用して弁護士に自己破産の申し立てを依頼しましょう。最近では生活保護課のケースワーカーさんに指導されて事務所に来られる方も多いですね。法テラスは弁護士費用を立て替えてくれますが、もし生活保護を受給していれば、法テラスへの返済が猶予され、また事件終了後も生活保護を受給していれば返済が免除されます。実際に破産申し立てにかかる弁護士費用がかからないということです。だから費用の心配はされなくて大丈夫です。

なお、生活保護ではないけれど、法テラスの返済費用も出せないという方はこちらをご覧ください。関連記事「法テラスで破産したいです。生活保護ではないですが、年金生活で本当にお金がありません。(法テラスと準生活保護について。)

借金が40万円程度だけど破産できるの?

もう一つちょっと悩んだのが借金額が40万円と低額であること。当時は地元の裁判所で破産債権額が50万円程度であっても事情が事情であれば自己破産が認められたという実例を知っていましたので、本件も大きな問題はないであろうと思い、破産の申し立てました。ツイートしましたとおり、事情が事情でしたからね、問題なく破産は認められました。破産の審尋(破産の審尋については関連記事「破産事件における裁判官との面接(審尋)はどんな感じ?(ささやき女将になった弁護士の話)」)にはお子さんも連れてきていたので、お子さんには待ち時間中に遊んでもらいましたほんとにかわいいんです(笑)

ことの経緯は以上なのですが、本当にびっくりしたのは、外見からでは本当に困っている人たちは分からないことがあるということでした。上記のツイートは1900以上のいいねをいただき、たくさんの方にお読みいただけましたが、こういった状況についての理解は広まってほしいと思います。

必要な方に必要な福祉が届けられる社会になるため、微力ですがあたしも頑張っていきたいと思います。

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