法テラスで破産したいです。生活保護ではないですが、年金生活で本当にお金がありません。(法テラスと準生活保護について。)

法テラス

質問:法テラスを利用して破産を考えています。でも、法テラスを利用しても毎月法テラスに5000円の弁護士費用の返済が必要だと知りました。私は毎月10万円程度の年金生活で自宅以外に資産もなく、生活費をねん出するのに精一杯で、その返済費用もありません、どうすればいいですか?

法テラスを利用した場合の破産申し立て事件にかかる費用は?

法テラスを利用した場合、破産申立事件では、債権者が10社までの場合、実費2万3000円で弁護士費用13万2000円の合計15万5000円となります。なお、債権者が11社から20社までは実費が2万3000円で弁護士費用が15万4000円の合計17万7000円です。法テラスを利用しない場合の弁護士費用の相場は30万円程度でしょうから、相当程度低額に抑えられていると言ってよいでしょう。(弁護士費用が低額に抑えられていることについて、関連記事「法テラスの弁護士は最悪なのか?」)。

毎月の法テラスへの返済額はどれくらいか?

毎月の法テラスへの返済は、事件進行中は毎月5000円ずつ、または毎月1万円ずつとなっています。破産申立事件の場合は負担が少なくなるように返済額は毎月5000円と設定することが多いですね。事件が終わったら、原則3年以内(36回払い以内でということですね。)にお支払いが終わるように法テラスから月々分割で返済を求められるでしょう。

それすらも支払えない場合に考えられる方法は?償還免除申請!!

でも毎月5000円でも返済が難しい、そういった方もいらっしゃると思います。そもそも生活費がないという方すらいらっしゃいます。こういった方は関連記事「シングルマザーで借金40万円で働けない、どうすればいい?(法テラスで破産と生活保護どちらが先?)」をお読みください。

また、特に質問された方のように年金生活であったりしてぎりぎりの生活をされている方もいますからそういった方は毎月5000円といえども返済が厳しいですね。法テラスも鬼ではないので(多分)そういった方に対しては返済に関して特別な制度として、準生活保護制度を用意しています(なお、法テラスは一昔前までは準生活保護と説明していたと思いますが、法テラスのHP上で記載は見当たりませんでした。)。

法テラスの準生活保護とは、生活保護を受給していない方が返済(立替金の償還といいます。)を免除される制度です。そして立替金の償還を免除されるには、収入要件、資産要件、資力回復困難要件の全てを満たす必要があります。

詳細は法テラスのHP「生活保護を受給していない方の償還免除申請」についてに記載してありますが、案の定分かりにくい(笑)。なので簡単にご説明します。ただ相当程度かみ砕いて説明いたしますので、ご利用をお考えの方は当該法テラスのHPの記載にあたってご検討ください。

まず収入要件ですが、生活保護の収入基準に準じます。収入がある配偶者等がおらず単身者の場合で、生活保護一級地である東京、大阪等に住所がある方は毎月14万140円となっております(但し、家賃等について4万1000までの加算があります。)。毎月14万140円以下の収入であればよいということですね。質問者の方は月10万円程度の年金収入ということですから問題はないでしょう。

次に資産要件ですが①現金、預貯金、保険等の合計額が66万円以下であり②自宅以外に不動産がなく③車を保有している場合は世帯あたり1台のみであること(但し高価な車はだめな場合がある、また合理的事情が認められば2台でも大丈夫なこともあるそうです。)。質問された方は自宅以外に資産がないようですからこれも大丈夫でしょう。

最後に資力回復要件です。質問された方は年金受給者で、65歳以上の高齢者でしょうから資力回復要件はクリアしますね。なお、そのほかにも資力回復要件に該当するケースがあります。長くなるのですが法テラスのHPを引用します。障害がある方、扶養されている方などですね。

以下、(1)から(5)のいずれかの要件に該当すること。

(1)65歳以上の高齢者

(2)重度または中度の障害のある者として以下のいずれかに該当する
  ア.国民年金法による障害基礎年金の支給を受けている者
  イ.厚生年金保険法による障害厚生年金の支給を受けている者
  ウ.労働者災害補償保険法による障害補償給付を受けた者のうち、その対象となった身体障害の障害
    等級が1級ないし7級に該当する者
  エ.身体障害者手帳の交付を受けている者のうち同手帳に1級ないし4級と記載されている者
  オ.精神障害者福祉手帳の交付を受けている者のうち同手帳に1級ないし2級と記載されている者

(3)上記(2)の障害のある者を扶養している者

(4)病気により長期の療養が必要で、現に収入を得ておらず、かつ、今後1年程度の間に収入を得るために働くことが見込めない者

(5)上記(1)から(4)に準ずる理由により、今後1年ないし2年で、現在よりも生計が改善される見込みに乏しい者

生活保護を受給していない方の償還免除申請について

償還免除申請はいつのタイミングで行うの?

法テラスへの立替金の償還免除申請は破産事件終了後に行うことになります。実は、法テラスと基本契約をしている弁護士であっても、事件が終了した後に法テラスと元依頼者がどういった内容で返済しているか等についてまで詳細に把握している弁護士は少ないのではないかと思います。

償還免除申請(準生活保護制度)も広く知られていないというのが実情だと思います。それに下記引用のように様々な資料の提出が求められて使い勝手のいい制度ではないでしょうからね(ただ破産申立事件では申立てに利用した資料で代用できるようですね!)。

この制度、法テラスを利用するのであれば知っておいて損はないと思いますので、ご紹介した次第です。あたしも破産事件の依頼者によって、この制度利用が必要だなと思った場合は積極的にご案内しています。

具体的な手続きは法テラスのHPを引用いたしますので、ご確認ください。法テラスの手続きって何にせよ本当にめんどくさいですよね(笑)

法テラス本部(免除係)へ「償還免除及び猶予申請書」、「免除に関する確認票」、「同確認票に記載された資料」をご提出ください。必要書類の詳細は、各種確認票に記載しています。

<破産事件特例での申請>
援助事件が自己破産申立事件で、免除申請が免責決定から2ヶ月以内の場合、破産申立資料を利用した申請ができます。
◎使用する確認票:「免除に関する確認票(破産事件特例版)(令和2年4月版)

生活保護を受給していない方の償還免除申請について

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