法テラスの弁護士は最悪なのか?

法テラス

質問:インターネット検索エンジン上では法テラス、弁護士、最悪で検索されているようですね。果たして「法テラスの弁護士」は最悪なのでしょうか?そしてそう思われてしまう理由はどこにあるのでしょうか?

まず、法テラスの弁護士だからといって最悪だというわけではないと思います。法テラスを利用できる弁護士は日本中にたくさんいますからね。たまたま法テラスを利用して依頼した弁護士の対応が良くなかったからネットで注意を呼び掛ける口コミが出ているんだ、ということなんだと思います。法テラスについて、一弁護士として、本音を話したいと思います。

法テラスの弁護士と言っても2通りある

法テラスの弁護士といっても大まかに言って2通りあることをまずご理解ください。1つには法テラス専属で常勤している①スタッフ弁護士(通称スタ弁といいます。)ともう1つには法テラスと契約している②通常の法律事務所(街弁、いわゆる町にある弁護士の事務所)の弁護士です。

①スタッフ弁護士ですが、法テラスからお給料をもらって働く弁護士です。給料が保証されており、一件当たりの事件ごとの単価だとかそういったことに気を付ける必要はないでしょう。他方で②法テラスと契約している通常の法律事務所の弁護士は法テラス事件はそのままその弁護士の収入となります。

法テラス利用で弁護士側には不利益が!→サービス低下へ

②法テラスと契約している通常の法律事務所の弁護士において、問題なのは法テラスの事件単価がものすごく低く設定されているということです。たとえば法テラスが広く浸透する前までは、簡単な個人の自己破産申立事件などは30万円(これに消費税加算)以上で受任していたと思いますが、法テラスを利用すると自己破産申立て事件が15万円程度に抑えられてしまうのです。半額以下ですね…

この差額は国が補填してくれるのでしょうか?いいえ、そんなことは決してありません。医療費の健康保険みたいな制度とは違うんです。弁護士に入る金額は法テラスの決定した15万円程度なのです。

簡単に例を挙げて説明しますと、八百屋さんで自分のところで仕入れたリンゴを300円(原価140円)で売っていたとします。これでも問題はなく売れていました。しかしある時、国がリンゴを150円で売る格安制度システムを作りました。国が皆さん、安くリンゴが買えますよこれを利用しましょう!と言ってきたのです。多くの八百屋さんは採算割れしかねないリンゴを150円売りたくはないのです。しかし、この格安制度ができたことで、八百屋さんは、この制度を利用を希望した市民にリンゴを格安の150円で売らねばならず、採算割れのリスクを負うことになりました。また制度に反対して制度を導入しなかった八百屋さんの中でもリンゴの価格破壊が起こってきました。

このように国が法テラス制度の利用促進をしている以上、しぶしぶ法テラスと契約する弁護士もいたり、また法テラス制度に参加しない(法テラスと契約をしない)弁護士の中でも国が巨大な力で広く推奨する法テラスの存在により、事件単価が下がってくるという不利益にさらされてきたのです。

なので、法テラスの制度に対する不満-特に価格設定に関する不満ーは弁護士には少なからずあるのだと思います。端的に言うとものすごく安い以上、サービスもそれなりであるべきだと考える弁護士もいることだと思います。

ですから法テラスを利用する方にとってみれば、弁護士から十分に行き届いたサービスを受けられなかったと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。もちろん法テラスだからという理由で弁護士が事件を処理するにあたり手を抜くかと言えばそうではないとは思いますが、だからといって通常の正当な報酬を支払っている依頼者同様の最高のサービスが受けられるわけではないと思います。

「法テラス、弁護士、最悪」が多く検索されていることの一因にはこのような裏の事情があるということだと、私は思っています(これは関連記事「法テラスに対する弁護士の本音は??」にも書きました。)。

それと付随的な、でも無視できない事情として、法テラスに提出するべき資料が多すぎで煩瑣であるということもあります。要するに法テラスを利用すると手続きがやたらとめんどくさいのです。個人的にはこれがめちゃ嫌です(笑)。もちろん法テラス利用者側(依頼者側)にも法テラス申し込みにあたり準備してもらう書類が多くありますよ。

法テラスを利用するにあたり気を付けるべきこと

以上のように弁護士側に抵抗感があるという背景もあり、法テラスを利用するときに特に気を付けるべきは弁護士選びです。

法テラスでは弁護士を選べない?という話もありますが、それは間違いです。法テラスを利用して受けてくれる弁護士を探すのが大変なことがある、というだけです。これは関連記事「法テラスは役に立たない?その理由と対処法を解説します」をお読みください。

このように法テラスの無料相談等を通じて弁護士を選ぶことができます。すなわち、法テラスの無料相談等を利用していろいろな弁護士に会って話をしてみればいいのです。そして、法テラスの無料相談は「3回まで」できますのでこれをフル活用して依頼する弁護士は慎重に選ぶようにされてください。

弁護士を選ぶコツについて、これは関連記事「良い弁護士の選び方?コツはだめな弁護士を避けること」に記載しました。ぜひご一読を!

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