破産事件における裁判官との面接(審尋)はどんな感じ?(ささやき女将になった弁護士の話)

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質問:破産事件で裁判所で裁判官と面接することになると言われました。どんな感じなんでしょうか??

破産事件では裁判官と面接することがあります。一般に審尋と言われる手続きです。下記のツイートは審尋で実際にあたしが見た状況をツイートしたものです。

破産事件(自己破産)を申し立てしますと、裁判所によっては、破産手続開始の要件を充たすどうかを判断するため、破産手続開始の申立後、破産開始決定を出す前に、申立人債務者に対する債務者審尋が行われることがあります。また、もう一つ、破産開始決定後に行われる免責審尋というものもあって、この場合は免責不許可事由がないかどうかや、免責をするべきかどうかということを裁判官が判断することになります(集団面接のこともあります。)。裁判所によってこれら審尋を行うか行わないか(書面で代替するか)様々で特殊性がありましたが、今は新型コロナの蔓延によってこれらの手続きは省略されることが多くなっていますね。あたしの地域では債務者審尋をしていたのですが、今は大型破産事件や債権者申立ての破産事件等は除いて、ほぼおこなわなくなりました。

ごちゃごちゃ言ってしまってイメージがつきにくいかもしれませんが、簡単に説明すると、審尋(正確には裁判官の審問と言います。)とは、裁判官が、法廷や裁判所の一室などで、申立人債務者(破産者)に対し、破産に関する事情を聴取したり意見を聞いたりする手続きのことを言います。申立代理人である弁護士も同席しています。

この審尋手続きは、裁判官と直接向き合って話をしますので、依頼者(申立人)の方は大体とても不安そうに「裁判官には何を聞かれるんでしょうか?」「どんな服装をしていけばいいでしょうか?」などと聞いてきます。

服装は失礼にならなければ大体良いですし、質問するのが裁判官とはいえそんなに難しいことは聞かれませんから、もう一度、破産申立ての際に作成した資料「申し立てに至った事情」を読み直して、正直に、裁判官に話をしてくださいねとお伝えしています。

そんな審尋手続きなのですが、とある裁判所の法廷にて、あたしが実際に見た光景をツイートしました(笑)。申立人はとても不安そうな表情をしていて、また、裁判官の面前でしたからとても緊張していたんでしょうね。裁判官の「今後はどうやって生計を立てて暮らしていくのでしょうか?」というシンプルな質問にフリーズして黙ってしまいました。

焦ったのはフリーズしている申立人だけではないのです。申立て代理人の弁護士も焦ったようです。弁護士は小声(のつもり)で、でも申立人と物理的に距離は離れているもんですから、周囲に聞こえる声で(笑)「生活保護で生きていくって言えー!!」と(笑)

ああ、この光景はどこかで見たな!!と思い出しました。2007年に食品偽装事件を起こし翌年廃業した大阪の高級料亭、船場吉兆の「ささやき女将」です(笑)。女将が社長に小声でアドバイスをしたつもりがすべてマイクでつつぬけだったあの事件です。

でも、まあ、ショックだったのがTwitterの若手弁護士がこの事件を知らなかったから「ググった」と言われたことですね(笑)。ささやき声の優しいお姉さんを思い浮かべてググったら怖そうなお婆さんでびっくりしたとのこと。こんな有名な事件なのに、昔の話なんですかねえ?世代間ギャップにショックでしたよ(笑)

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