買い物依存症で自己破産する場合の注意(自己破産と反省文)

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質問:買い物依存症で借金が返せなくなり、弁護士に破産事件を依頼しました。弁護士から反省文を書いてと言われています。何を書けばいいんでしょうか?

破産事件で反省文を書くように求められたとのことですね。あたしも実際、よく破産事件を受任しますが、破産の原因が買い物依存等である場合は、依頼者に反省文を書いてほしいとお願いすることがあります。ただ、依頼者には様々な方がいますから、下記ツイートのように不思議な反省文が出てくることがあります。

破産申し立てにいたる原因は?

街弁をしていますと、通常、破産申し立て事件を多く取り扱うことになります。破産申し立てに至る原因は大きく分けて2つです。①収入が低くなってしまった、途絶えてしまったこと(収入面の問題)と②収入は生活をするうえで問題ないが支出が課題であること(支出面の問題)です。この複合型もありますが、最近は新型コロナ渦の不景気のせいでしょうか、①の収入面の問題で、失業した、仕事が見つからないなどといった理由で破産申し立てすることが多いです。

ただ、一定数は②支出面の問題を抱えていることも確かです。たとえばギャンブル依存症や浪費などです。収入に見合わない過大な支出をしてしまうんですね。

支出面に問題がある場合(ギャンブル依存や浪費の問題)

ギャンブル依存症や浪費の問題は、もちろん実際問題としてギャンブル依存等を治して経済的に更生することが何より重要ですが、破産手続きにおいては「免責不許可事由」になりうるため問題があります。免責不許可だと判断されてしまうと借金が免責がされなくなり、借金がそのまま残ってしまいます(返済しなくてはならない)ので、破産を申し立てた意味がなくなってしまうんですね。

またそれ以前に、ちょっと難しい話になりますが、免責不許可事由があると考えられた場合、破産手続において同時廃止手続きという簡単な手続きではなく異時廃止手続きとなり「破産管財人」が裁判所によって選任されて、この免責調査を行うことになります。破産管財人が就任するためその報酬を申立人が準備しなくてはなりません。自己破産申立費用とは別に最低20万円の予納金が必要になります。

反省文の持つ意味は何でしょうか?

破産の原因がギャンブル依存等であっても破産債権額が低額だったり、本人が反省してもうギャンブル等をしていないなど簡単な同時廃止手続きにふさわしい事案もあります。こういった場合、裁判所に対して破産管財人をつけなくても、申立人は十分に原因を理解して反省していますし、もうギャンブル依存等から脱却して経済的更生ができますよ、と積極的にアピールする必要があり、その手段として「反省文」を裁判所に提出することがあります。

上記ツイートは、破産申し立てにあたり、借金の原因として買い物依存などの浪費が最大の原因であったため、反省文を書いてほしいと依頼して書いてもらった時の心情を表現したものです。

バブル世代って経済的狂乱の時代でして、その時の生活水準は高水準だったのですが、その生活が忘れられず、今現実の収入がそれに追い付かずに支出の水準を抑えられない方が一定数いるのです。その方たちに反省を求めても、なかなかに難しいことがありますね。

この方のできあがった手書きの反省文を読むと、「マンモスかなピー」というのりピー言葉こそ使われてませんでしたが、バブル時代の丸文字で「悲ピくなってブランド物を買って・・・。」みたいな句読点が多用されていて、ああ、バブル期ってそうだったなと思い出しました(笑)。

では、反省文の書き方は?コツを公開

ではどういった反省文を書けばいいのかということですが、①自己破産に至ってしまった経緯、②自己破産に至ってしまったその原因、③今後の生活目標(経済的更生)という感じで書くとよいと思います。内容が良ければA4用紙1,2枚くらいで良いんではないでしょうか。PCで作成しても手書きでも構わないと思います。

①自己破産に至ってしまった経緯は、時系列ごとに簡単にまとめたほうが良いと思います。たとえば「2018年4月、それまで正社員で仕事をして月給は手取りで20万円でしたが、失業をしました。生活苦のため2019年1月から消費者金融からさらに借り入れを始めました。そして2019年3月に再就職しましたが契約社員で収入が月給で手取り13万円程度となってしまいました。」等です。

②自己破産に至ってしまったその原因については、具体的に書いてください。何が問題だったかということです。たとえば「ブランド物を買うとストレスが解消できた気になってしまい、毎週土曜日にデパートに行ってブランドのコスメ化粧品など1回につき5万円程度使うようになりました。当初は月数万円の返済できる程度のクレジット払いだったのですが、2022年5月ころには毎月15万円の返済となってしまい、その月の収入では返済ができなくなりました。」などです。

③今後の生活目標ですが、これは上記②の何が問題であったか(原因)を前提にこれも具体的に書いてください。たとえば「ブランド物を買いあさっても結局心が満たされることはありませんでした。迷惑をかけた債権者には大変申し訳なく思っております。またカウンセリングにも通っており、現在は生活に必要最低限のものしか買っておりません。今後も自分の収入の範囲内で生活していきたいと心より思っております。」などですかね。

反省文はもちろんですが、自己破産申し立てにあたっては、決して嘘は書いてはいけません。客観的事実と異なっていたことが判明し、悪質であると判断された場合には、先ほど述べたとおり異時廃止手続きとなり、破産管財人の免責調査が行われることになります。

余談ですが、マンモスかなPというのりピー語、すでに若手の弁護士らにはわからなかったようです(苦笑)。時代の流れを感じたツイートの反応でしたね…(笑)最後にそのツイートを紹介いたします。

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