DNA鑑定で父親じゃなかった…?(嫡出否認の調停とDNA鑑定について)

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質問:別居しているのに妻が出産したようです。生まれた子は自分の子ではないのに私の子として戸籍に載っていました。弁護士に嫡出否認の調停を申し立てるべきだと言われましたが具体的に何をするのでしょうか。

家庭裁判所でおこなう嫡出否認の調停では、なによりもDNA鑑定が重要になってきます。下記ツイートは(しょうもない話ですけど…)DNA鑑定業者を選定する際に渡されたDNA鑑定業者のパンフレットの話です。

街弁をしていますと、たまにですが、法律上(戸籍上)は父子であるけれど、父親と子の血縁上の親子関係がないのではないかといった事案に遭遇します。たとえば、妻とは別居期間が2年くらいあって、もう会ってもいないのに、戸籍を取ってみたら知らないうちに子どもが生まれてた!みたいなケースなどです。

夫婦がいくら別居していようと離婚していない以上、妻に他男との子供が生まれてその子の出生届を出せば、戸籍では自分(夫)の子として入籍記載されてしまいます。

これを自分の子として否定する方法としては「嫡出否認」の調停という制度があります。改めて詳しく説明すると、婚姻中(または離婚後300日以内)に生まれた子どもは、婚姻中の夫婦間にできた子すなわち嫡出子と推定されてしまいます。この夫との間の子どもであるとの嫡出推定を否定するためには、家庭裁判所に対して、夫からその子どもが自分の子どもであることの否認を求める嫡出否認の調停を申し立てる必要があり、これを嫡出否認の調停といいます(なお、調停では解決ができなかった場合には嫡出否認の訴訟を提起することになりますが、嫡出否認の訴訟を提起できるのは夫が子供の出生を知ったときから1年以内となっていますのでこれにはご注意ください。)

嫡出否認の調停では、何が重要かと言うとこのDNA鑑定なんです。妻の協力を得て、子のDNA資料を採取することが至上命題と言っても過言ではありません。生物学的親子関係をDNA鑑定で否定すること、話はそれからですからね。

ずいぶん昔のことですが、上記のツイートで書いたように夫の嫡出否認事件を受任し、遠方の家庭裁判所で嫡出否認の調停申し立てを行いました。その際に幸い妻が調停に出頭し、無事DNA鑑定を行う運びとなりましたが、裁判所とともにDNA鑑定業者をどこにしようかと協議しました。費用は大体6万円~10万円程度で、これはDNA鑑定業者の出張サービスを利用するかでも異なってきます。

この裁判所と協議の際に渡されたのが、上記ツイート写真のDNA鑑定業者のパンフレットです。表紙を見てちょっと笑ってしまいました。なぜならキャッチコピーが「パパはだれ?」だったからです。

もちろん、当事者にとっては笑い事じゃないんですけどね、もうちょっとキャッチコピーはなかったものか…と思いました(笑)だからと言っていいキャッチコピーを考えてみたんですが、「きっとパパ…?」とかうっすらとした期待を込めたフレーズしか思い浮かばず(笑)

結局費用等の兼ね合いからその業者に依頼することにしまして、パンフレットを依頼者(夫側)に送ろうかもんもんと考えましたがコピーを取れば表紙の字も見えにくくなって気にならないな…ということで送りました。そしてDNA鑑定では父子関係はないとの結果となりました。これを争わないという母の意見も聞いて、嫡出子であることは否定され(これは、当事者双方の合意に基づいて「審判」という形で判断されます。)、戸籍からも子の記載がなくなり、追って夫婦の離婚も成立することとなりました。

センシティブな話でもありますが、意外と経験してみないと分からない嫡出否認調停事件(でのDNA鑑定業者)のお話でした。そして最後にブラックジョークのツイートをご紹介いたします。盛大にすべりました(笑)

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