質問:弁護士って司法試験に合格しているわけだし、就職が厳しいわけはないですよね?
弁護士(街弁)の就職事情は…??
弁護士(ここでは街弁、通常、街でよく見かける小規模の法律事務所の弁護士を指します。)の就職活動ってあまり広くは知られてませんよね。これを読んでいる方の中には、修習生(修習生とは、簡単に言うと、司法試験に合格した弁護士等法曹の卵のことです。)の方、弁護士を目指してロースクールに通われている方、予備試験の受験生もいらっしゃることと思いますが、実際就職活動を経験してみないとこの業界の就職活動の感覚は分からないのではないでしょうか。
あたしが実際に経験したのは「街弁」といわれる小規模な事務所(弁護士数1名から5名程度)に対する就職活動ですし、もう10年以上も前ですからあまりお役には立てないかもしれませんが、街弁の性質というものは大きく変わったように見えません。なお、あたしが経験した時にも「新人を雇う余裕なんてないから...」なんて言葉はよく聞かれていました。下記のツイートは当時の内容を思い出してのアドバイスです。
このようなツイートのとおり、就職希望先の事務所の弁護士に対して、基本は熱意(ガッツ)を伝えることが重要です。なぜたくさんある法律事務所の中でこの事務所を選んだのかという熱意が重要です。
特に女性修習生の街弁の就職活動は厳しいと聞きます
また、女性の修習生達に伝えたいこととして、あたしの時代は女性修習生の就職活動は難しいものがあり、やはり街弁の弁護士業界はまだまだ見えない形で閉鎖的であろうということです。
このツイートに対し、女性弁護士から、ずいぶん前のことですが面接に行った先で、男一人でやっているので女性はちょっと…と言われました、というコメントもいただきました。
また、69期の女性弁護士は神奈川県弁護士会HPの就職体験記【69期】焦らず淡々と(東京修習・女性・30代前半)でその厳しさを教えてくれています。現在(2023年1月)からすると6,7年前の話ですね。
周囲を見ても、女性の就職活動は、男性と比べてかなり厳しいのが実情です。一般社会でもそうなのだから、弁護士の社会でもやむを得ないのかもしれません。女性の修習生の方々は、最初からそういうものだと腹を括って、焦らず長期戦で臨んだ方がよいと思います。
【69期】焦らず淡々と(東京修習・女性・30代前半)
誰にでも自分にしかない個性があると思うので、それを工夫してアピールすること、困ったときは遠慮しすぎず周囲の手を借りること、自分にとって一番大事な条件は何かを考え、あとの条件は捨てるくらいの感覚で臨むこと、の3点が特に大事かと思います。
就職活動の途中には、落ち込んだり疲れることもあるかと思いますが、焦らず淡々と進んでいけばきっと道が開けると思います。皆さまが希望の事務所に就職されることをお祈りしております。
女性である以上、妊娠出産育児などで休業せざるを得ないことがあり、その期間労働力として貢献できないことを主に理由としていると思います。これは、たしかに小規模の事務所の経営者弁護士であれば死活問題なので、一概に責めるわけにはいかない問題だと思います。
ただ他方で、地方の法律事務所は人手が足りずに、女性弁護士も求めているという声も聞きましたから都会にこだわらない、というのも手かもしれません。
将来的に考えると、多様性がない業界はいずれ廃れていくであろうとも感じますので、女性修習生の就活問題は、業界(弁護士会)を挙げてバックアップ体制をとることも考えていく必要があるのではないかと思います。
なお、街弁業界がこのような状況だということもあって、最近の女性修習生は街弁を志望せず、公務員である裁判官検察官を希望したり、企業内の弁護士(インハウスローヤー)になる方も増えてきているようです。
基本は熱意、そして自分のアピールポイントを見つける
話を修習生の街弁就職活動に戻します。
どんな事務所がいい事務所なのかについては関連記事「修習生で法律事務所の就職活動中です。どんな事務所が良いでしょうか、良い弁護士の特徴を教えてください。」に書いてみました。
就職したい法律事務所を探して、まずは、もちろんどうしてもその法律事務所に入りたい熱意をアピールすることが重要ですが、その法律事務所に対して自分がアピールできるポイント(自分の何がその事務所に貢献できるのか)も伝えなくてはなりません。ただ、それまで社会に出たことがないという方も多くいますから、自分が何ができるかなんてなかなか想像できないことなんですね。
あたしは就職活動の際に下記のツイート内容のような「フットワークの軽さ」「誰にでも聞いて情報を仕入れてくるガッツ」のアピールをしました。もう、自分の希望の法律事務所に入れてもらいがために、がむしゃらだったですね…(笑)。
どうか修習生の皆様の就職活動が無事に行くことをお祈りしております!
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