先生のご専門は何ですか?(弁護士は専門分野をうたっちゃだめ?)

弁護士

質問:弁護士に離婚事件を依頼したいと思います。お医者さんみたいにやっぱり専門に扱ってる先生の方が心強いじゃないですか。先生のご専門分野はなんですか??

専門分野という表現は望ましくない(日弁連の指針です)

よく質問されることなんですが「専門」という言葉、これは弁護士が広告をするにあたりあまり好ましくないんです。そもそも日弁連の「業務広告に関する指針」では弁護士が広告をするにあたり「専門」と表記することを控えるようにとしています。

これは理由の一つとして「何を基準として専門分野と認められるか」判定が困難だからなんです。専門性基準が客観的に定められていない現状では「専門分野」という表現は市民にとって望ましくないという判断に基づいています。

他方では「得意分野」という表記は問題ないという判断のようです。市民にとって主観的だとすぐにわかるからだということのようですね。

ですのでHPなど広告で「専門分野です!」「専門家です!」などと勢いよくうたっている法律事務所は端的に言うとこの日弁連の指針(専門分野という表示を控えるのが望ましい)に反しているということです。ルールを守らない弁護士にどうしても依頼したいということであれば止めはしませんが…

12 専門分野と得意分野の表示
(1) 専門分野は、弁護士等の情報として国民が強くその情報提供を望んでいる
事項である。一般に専門分野といえるためには、特定の分野を中心的に取り
扱い、経験が豊富でかつ処理能力が優れていることが必要と解されるが、現
状では、何を基準として専門分野と認めるのかその判定は困難である。専門
性判断の客観性が何ら担保されないまま、その判断を個々の弁護士等に委ね
るとすれば、経験及び能力を有しないまま専門家を自称するというような弊
害も生じるおそれがある。客観性が担保されないまま専門家、専門分野等の
表示を許すことは、誤導のおそれがあり、国民の利益を害し、ひいては弁護
士等に対する国民の信頼を損なうおそれがあるものであり、表示を控えるの
が望ましい。専門家であることを意味するスペシャリスト、プロ、エキスパ
ート等といった用語の使用についても、同様とする。
(2) 得意分野という表示は、その表現から判断して弁護士等の主観的評価にす
ぎないことが明らかであり、国民もそのように受け取るものと考えられるの
で、規程第3条第2号又は第3号に違反しないものとする。ただし、主観的
評価であっても、得意でないものを得意分野として表示する場合は、この限
りでない。

業務広告に関する指針(日弁連)

弁護士(いわゆる街弁)の取り扱いがある分野は?

え、じゃあ、日弁連の指針に従って「専門分野」などという言葉を使ってない法律事務所を選ぶべきなんだろうけど、心配です、大丈夫なんですか?という質問が来そうですね。

安心してください、一般に離婚事件、遺産分割等の相続関係事件、破産申立事件、交通事故事件などはほぼどのような街弁の法律事務所では扱っている事件なんですね。取扱件数こそ、その弁護士の経験によって異なりますが通常数年もたてばできるようになっているはずなんです。

下記のツイートは、たまたま修習生(司法試験に合格した弁護士等の卵です。)に聞いた話です。

修習生に聞いたんだけど、街弁先生に街弁のお仕事ってどういう内容ですか?と聞いたら街弁先生が「リコンイサンハサン!」以上!みたいな回答だったらしい。だいたい合ってる(笑)

@onbensecond

この修習生曰く、修習先の弁護士に、通常街弁が取り扱う分野ってなんなんでしょうか?と聞いてみたら、その弁護士は「リコンイサンハサン!」(「離婚遺産破産!」)と語呂良く回答したとのことでした(笑)。大体合ってますよ、離婚遺産破産は通常街弁が取り扱う分野です。言ってみれば、通常、街弁にとっては比較的、得意分野なんですね。

では弁護士の何を重視すればいいの?

じゃあ、弁護士に対してどんなことを聞けばその人の実力がわかるんでしょうか。それは難しいのですが、直球でその弁護士の経験年数や、どれぐらい類似案件を過去に取り扱ったのかなど聞いてみればいいのだと思います。

離婚事件、遺産分割等の相続関係事件、破産申立事件、交通事故事件といった通常街弁取り扱い分野については、専門性より何より、弁護士との相性を見たほうがよろしいかと思います。相性って言っても難しいでしょうからその弁護士とコミュニケーションが難なく取れることですよね。

また、弁護士の選び方については、関連記事「良い弁護士の選び方?コツはだめな弁護士を避けること」に記載しました。ぜひご一読を!

コメント