被告人質問ではどんなことを聞かれますか?(刑事弁護人はつらいよ)

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質問:窃盗事件で先日、起訴されました。事実はすべて認めています。近々裁判の期日なのですが、弁護人からは「被告人質問」があると説明されました。被告人質問って何をする手続きなんですか?不安です。

被告人質問ってどんな手続き?

刑事裁判で、被告人質問が行われますが、この被告人質問とは、被告人が証言台の前で、弁護人や検察官、裁判官の質問に答えるという手続です。質問者さんは事実を認めているということですから、自白事件で、おそらく30分以下で終わると思います。被告人が自身の言葉で事件について語るのですから、自白事件では量刑に関することになるので最重要な手続きだと言っても過言ではないと思います。

被告人に質問する順番は弁護人が質問→検察官が質問→裁判官が質問、という順番です。

ですから、被告人質問については、弁護人は事前に被告人と協議(準備)します。これはどこまで準備するか、弁護人によって個人差があるかと思います。あたしの場合ですが、当日質問する予定の質問事項を印刷した紙を準備して、こういったことを聞くので、あなたなりの答えを聞かせてくださいね、と説明して、一通り、口頭で練習して裁判に臨むことが多いですね。

それと実際によく被告人の方に(不安そうに)聞かれるのですが「手控え」「メモ」を見ながら答えることはできません!からご注意ください。法廷で被告人の記憶だけに基づいて質問に答えることになります。

被告人質問で聞かれる質問例

では被告人質問では何をどのように聞いていくのかですが一例をあげると…

  • 犯行事実について(5W1H、いつどこでだれが何をどうした、を意識しながら事実を聞く)
  • なぜ犯行に至ってしまったのか(犯行に至る理由)
  • 被害者がいる場合は被害者に対してどう思うのか
  • 被害者がいる場合の被害弁償はどうしたのか、どうするのか
  • 今後の生活状況(親、配偶者と同居とか、勤務先は、とか身上関係)
  • あなたはどのくらい反省しているのか(再犯の可能性、再犯防止の対策について)

まだほかにもあるかと思いますし、構成や順番は弁護人によるかと思いますが、弁護人としては最低限こういった質問は聞いていきます。

なかなか思い通りにいかない被告人質問!

このように被告人質問にあたり、弁護人は、事前に被告人と打ち合わせをしておきます。これは被告人の性格を見ながら、そして被告人は本事件について十分に反省しています、被告人は再犯のおそれがないですよということを裁判官に十分理解してもらえるように意識して準備していきます。

しかし、被告人といっても色々な方がいますので、弁護人としては正直苦慮することもあるんです。中には検察官の質問(これは反対質問と言います。)に喧嘩腰で答えっちゃったりする方もいます。法廷は喧嘩をする場ではありません…

あたしが法廷で見かけた弁護人の方も、とても苦労されていました。同業が見ると、ああ、ご苦労されているんだ…と胸が締め付けられる思いになる、これは、そんなツイートです。

被告人質問で、弁護人は「もう(このような犯罪は)やらないですね」って確認で聞くことはあるかと思います。先ほど述べたように、再犯の可能性はないという、被告人の強い意思をあらためて確かめる必要性があるからです。

ただ社会一般で生活される方の性格も様々なように、被告人の方も性格が様々です。ものすっごいこだわりを持つ方もいますし、物事のとらえ方がとても頑なな方もいます。この性格ではなかなか社会生活も大変だろうなと思う方も中にはいらっしゃいます。

上記ツイートの被告人もそんな方だったのでしょうね。とても生真面目で、もう二度とやらないとはいえず、色んな可能性を考えたら100パーセントやらないとは言えないという結論に至ったのだと思います。ある意味、とても正直な方なんでしょうね。

このツイートに対しては同業の方から、その弁護人は情けない奴だ、事前準備でうまいこと持っていけるだろうみたいなコメントがつきましたが、あたしはそうは思いません。

無理に取り繕うことが弁護人の役割ではないと思いますし、熟練の裁判官もそういった取り繕いはすぐに分かることだと思います。刑事裁判においては被告人の反省を促したうえで、被告人のどうしても変えられない性格、能力があるならそれを踏まえたうえで、今後どうやって再犯をさせないかをともに考えていくことが、一番重要なことじゃないかな、と思います。

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